公務員がモテる時代

リーマンショック以前はよく一緒に飲み歩いていた友人たちは、今はではすっかり名前を聞かなくなり、皆より少し遅れてゴルフデビューした私を、週末ごとに嬉しそうに各地へ案内してくれた優しい先輩たちも居なくなった。皆元気にしているだろうか。私も派手に遊ぶにはいささか年を取りすぎた感じだが、小さかった息子がもう大学生となり、時代の移り変わりというものをとてもよく感じる。妻は私を、やりての広告マンだと思って結婚を決めたと言う。その見定めは決して間違っていなかったし、周囲の動揺をよそに、リーマンショックにも特に動じなかった私だ。妻は勝ち馬に乗ったと言える。しかし今は、公務員がモテる時代なのだそうだ。まだやっと大学に進んだばかりの息子は、誰に教えられたわけでもないのにもう就職を意識している。多少のコネなら私にもあるのだがそんなものには目もくれず、正々堂々と戦いたいからと、早くから資格試験の学校にも通い始めた。

息子が勉強しているのは、私の時代にもあった国家公務員試験だ。息子は国家公務員になり、穏やかで安定した生活を送りたいらしい。小さいころはお父さんのようになりたいと言ってくれていたのだが、今は仕事ばかりの人生ではなく、家庭を顧みて良き夫、良き父親になりたいそうなのだ。これはきっと、妻の育て方に影響されているに違いない。妻は自分で選んだ夫の仕事ぶりに納得しながらも、やはり夫が不在がちな家庭に不満や寂しさを覚えていたのだろう。父親の背中を見て、母親の寂しさにも気づき、息子が自分で考えた将来のビジョンなのだから私がとやかく言うことではないが、育てたように子が育つという言葉を、今更ながら思い返している。